エアコンの室外機の天板に、水の毛細管現象を利用してタオルなどで水を行き渡らせ、気化熱の作用により室外機を冷却するという事例がかなり多く見つかります。
数百円の元手で完成しますし、水の補給は必要なものの、ランニングの手間という点ではよくできているなぁと思いました。この冷却方法の効果を分析するとともに、もっと効果の高い方法はないものか探ってみました。
天板を冷やすことの是非
まずは冷房時の室外機の動作を確認します。室内で回収した熱を外に逃しやすいよう冷媒を圧縮することで、約70℃まで温度を高くし、その冷媒が室外機の熱交換器(コンデンサー)を通過するときに熱が外気に持っていかれます。(外気温が40℃でもエアコン冷房が機能するのが謎だったのですが、疑問が解決しました。)
エアコン室外機の排熱機能は正式には「コンデンサー(凝縮器)」と呼ばれています。それまでコンデンサーといえば電子部品のイメージだったので少し調べてみました。
コンデンサーの意味はそのまま「凝縮する」で元はドイツ語だそうです。コンデンスミルクのそれと同じ意味合いですね。
熱を取り出しやすいように高温高圧のガスとなった冷媒は、このコンデンサーで熱の排出と同時に液化します。この様子を指して凝縮と呼んでいるようです。
一方で、電子部品のコンデンサーは電荷を溜めるものですが、英語圏では「キャパシター」と呼ばれています。キャパシティ=容量ですので、こちらの呼び方のほうがしっくりきます。
ではなぜこちらを「コンデンサー」と呼んだかについてですが、その昔ボルタさんが、いまのキャパシターの基礎となる2枚の電極板に多量の電荷を溜める方式をあみだしたときに、従来の静電気を溜める方式と違いを出すために「凝縮」というニュアンスを使った模様です。
最近は日本でも、大容量の蓄電池に近い性能や目的を持つものをキャパシターと呼び、コンデンサーと使い分ける向きがあるみたいですが。
なお、自動車のエンジンルーム内には、室外機のそれとまったく同じ機能を持つカーエアコン用のコンデンサーと、エンジンを冷やすための冷却水が流れるラジエーター、空調の風に熱を与える「エバポレーター」(エアコン室内機の熱交換器に相当)が収まっていますが、3つとも外見が非常に似ているので最初私も混乱しました。(ヤフオクではその3つが混同して「ラジエーター」として出品されたりしています)
本サイトでは、高温高圧の冷媒を通す熱交換器を「コンデンサー」、水などの状態が変化しないものを通す熱交換器をそのまま「熱交換器」と使い分けようかなと思います。
コンデンサーは一般的なタイプだと室外機の背面と、向かって左の側面に面しています。(我が家の室外機も同タイプでした)よって、外の空気が室外機の中に入ろうとするときにこの熱交換が行われることになります。
ということは、室外機内部の温度よりも、これから室外機に入ろうとする空気の温度のほうが重要な気がします。室外機全体(特に天板のみ)を日除けや水で冷やすよりも、冷媒が通過するコンデンサー部分を直接冷やしたほうが効果は高そうに思えましたので、そこにポイントを絞ってみました。
ドレン水を利用した冷却
調べていくうちに、冷房運転時に室内から排出されるドレン水は結露した水なのでかなり冷たいとの情報が得られました。気化熱の原理が肝だと思っていたのでこれは収穫です。冷却に使う水は冷たいに越したことはなさそうですし、さらに気化熱を組み合わせることができるかもしれません。
水道水や雨水の活用
ドレン水が冷たいというのはかなり重要なファクターになりそうなのですが、いかんせん排出量が少な過ぎるのではないかとの懸念があります。
水量を取るならば水道水を使うことになりますが、果たして水道料金に見合う効果があるのかということでその分ハードルが高くなってしまいます。
そこでタダである雨水の利用が思いつきました。我が家は室外機の真上がベランダになっているので、雨水樽を置いたり配管は通しやすいです。が、ベランダで日光にさらされた雨水はおそらくかなりの熱を持ちます。特に重要な夏場であればあるほどです。仮に外気温よりも高くなってしまった場合、気化熱の作用が働いたとしても効果が相殺されてしまい室外機に入る空気を冷やすどころかあっためてしまうことになるかもしれません。ということで雨水は却下とします。
反射板や日除けの効果は?
これは商品も多く、当たり前のように取り付けられている方がかなりいらっしゃいます。
しかしながら、これらの商品もやはり天板のみか室外機全体を太陽熱から守ることを目的としたものであるため、コンデンサー部のピンポイントの冷却に比べると効果は小さいと思われます。
また、日除け商品の構造によってはかなり通気を阻害してしまうものあるようです。熱交換器は仕組み上通気が最も重要になるため、むしろ冷媒冷却の効率を落としてしまっているのではないかと思う事例もかなり見つかりました。そこらへんに関連して、客観的に評価されている動画がありましたので紹介します。
コンデンサーの中を70℃の高温となった冷媒が通ることを考えると、冷媒から受け取った熱をいかに外に排出するのかが最重要であると思われます。
その点、日除けやアルミテープは確かに外からの熱は遮断するけれど、それ以上に中に熱を封じ込めてしまう恐れがあるということですね。
結論
ドレン水を用いた冷却が取り組み甲斐がありそうだなと思いましたのでトライすることにしました。
実践の様子はドレン水を用いたエアコン室外機の冷却をご覧ください。
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