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ソーラー発電の費用対効果検討

ソーラー発電をDIYで行う場合、どのようにして費用対効果を設定すればよいでしょうか?
まずは、業者さんへの発注と比較してどのようになるかを基準として考えてみたいと思います。

業者さんに設置してもらうソーラー発電システムは既存の電気系統に接続することで利用価値が高まります。そして、売電もできるようになるため生み出した電力が無駄になることはなくなりますが、そのための機材がワンセットになっているので、比例して初期費用は高くなります。
悪名高かったFIT制度がようやく終焉に向かいつつあり、この間非常に緩やかだったソーラーパネルの価格下落がまた進みだした結果、1kWの出力あたりで25万円程度(4kWで100万円)まで落ちてきました。
FIT制度により、本来自然に行われるはずだった各メーカーの価格競争力向上の努力が阻害されたことが大きく、その間、影響を受けなかった海外のメーカーが順調に研究開発を進めた結果だと思います。国内では、FIT制度に群がった設置業者が淘汰されつつあることも大きいのでしょう。

DIYでやるとなると、当然専門商品の相場よりも安く収めることは絶対条件です。災害等への保証も得られませんので。ということで、独自基準に従い相場の4分の1(7.5万円/kW)が実現できそうか調査してみました。
以下、最低限必要となる部材を挙げてみました。

  1. ソーラーパネル
  2. ソーラーパネルの架台
  3. チャージコントローラー
  4. 電気を送るケーブルやコネクタ
  5. 利用のための機器

各種部材の調達費の試算

ソーラーパネル

アマゾンでみてみると、だいたい以下のような感じでした。
 ・50W ⇒ 8000円
 ・100W ⇒ 13000円
 ・200W ⇒ 22000円
レビューなどを見ていると明らかに出力の小さい粗悪品が混じっているようなので、上記はそのような商品を除外した価格です。購入時は、仕様が詳細に記載されており、パネルのサイズやセルの個数が仕様などと一致しているかどうかをチェックする必要があります。
ヤクオクだと1枚400Wを超えるものもあり、複数枚セットのものだとさらに割安です。中古は当然お安いですが、劣化は無視できないのと、送料がバカにならないので、自分でピックアップできる出物を気長に待つことで特価で入手できる可能性があります。
200Wあたり1万円で入手できる想定で仮置きします。

ソーラーパネルの架台

業者さんであれば屋根への取り付け時の部品やノウハウをお持ちのことと思います。屋根の防水に関する部材や、屋根に合致する固定部品やフレームを選定し取り寄せる必要があり、もしかしたらパネルと同じくらい高つくかもしれません。

我が家には、ベランダに物干し台用の柱(枠組み)があるのですが、そこに取り付けするならば、固定用部材の費用は1万円程度で済みそうです。設置後のメンテナンスが楽になるという利点もあります。ただし、スペースには限界があり、我が家の場合は縦に並べて最大6mくらいが上限となります。
この場合、パネルの出力でいうと1,000Wくらいが上限になってきます。

チャージコントローラー

不安定な発電電力を安定化したり制限するために必ずチャーコン(チャージコントローラー)と呼ばれる機材が必要となります。正規のソーラーシステムの場合はパワコン(パワーコンディショナー)と呼ばれ、既存の電力系統への接続や売電するための機能、停電時に独立稼働できるようにする機能が含まれているため、これだけでも20〜30万円することもあります。

DIYでとなりますと、電力の利用形態に沿ったものを選ぶことになります。電圧、電流がパネルの出力と合致しているのはもちろんのこと、蓄電池などと一体型になっている製品もあります。
最低限のものを購入することを仮定し、5,000円としました。

電気を送るケーブルやコネクタ

ソーラーシステムの配線は、プロであれDIYであれ、MC4という国際規格で統一されています。パネルやケーブルを選ぶときはこの規格に絞っても十分な中から選べます。
あとは、電圧や特に最大電流に対して十分余力を持った太さのケーブルを選ぶ必要があります。太さに応じてケーブルの単価は高くなります。

我が家ではパネルを設置可能な場所とチャーコンなどを置ける場所が離れているので、15mほどの長さが必要になります。ソーラー用のケーブルは屋外で雨風にさらされることが前提なので、もともと耐候性のある被覆素材が使われていますが、できればカバーなどもしておきたいですね。パネルの接続形態によっては逆流防止ダイオードを付けといたほうがよい場合もありますので、ケーブル類に含めることとします。

合計で7,000円程度と試算しました。

利用のための機器

DC12V対応の電化製品、蓄電池、DC-ACインバーター、グリッドタイインバーターなど、だいたい利便性と連動した投資が必要となります。
蓄電池を取り入れるかどうかで大きく金額が変わりますが、2万円程度に仮置きします。

結論

上記を合計すると以下のようになりました。出力規模は600Wで考えてみました。
出力規模については、小さくしすぎると出力当たりの単価が高くなること、大きくすると電力の有効活用が難しくなること、設置スペース上の上限が1000W程度であることなどを考慮しました。

  1. ソーラーパネル        ⇒ 30,000円(200W×3) 
  2. ソーラーパネルの架台     ⇒ 10,000円
  3. チャージコントローラー    ⇒ 5,000円
  4. 電気を送るケーブルやコネクタ ⇒ 7,000円
  5. 利用のための機器       ⇒ 20,000円

合計: 72,000円

1kW当たりに換算すると12万円となりました。
基準として掲げた7.5万円/1kWよりもだいぶ割高になる形です。
ただしこれは、業者さんへの発注と比較しての基準ですので、もうひとつの基準である「5年でペイ」は可能かどうか?との視点で考えてみました。
売電はできないので、年間で1.5万円(月平均1,250円)の電気料金を浮かせることができるのか?との形に置き換えることができます。
ソーラーパネルは一般に年間で出力の約1000倍(月間だと約83倍)の電力量を生み出すことができます。これは日照量などの地域差が影響するため、国内では900~1200倍の範囲になることが多いようです。
これを当てはめてみると、月間で600W×83=49.8kWh≒約1,245円相当の電力量となりました。
ほとんど目標値とトントンになりましたが、あくまでもこれは生み出された電力を100%活用できたときの試算であり、捨てることになる電力や、利用時の変換ロスなどを考えるとやはり厳しいと言わざるを得ません。

とはいえ、省エネを標榜するサイトとしてソーラー発電のテーマは避けて通れないほど魅力的ですし、実際の部材の調達はより安価に実現できるかもしれないこと、基準はオーバーしていましたが、それでも「7年程度でペイ」は可能かもしれないことを考え、実践に進むことを決意しました。

実践に向けたより具体的な検討はソーラーの電力をどう活用するかをご覧ください。

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